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2010 年06 月01 日

Q: 外国人妻と協議離婚します。妻に慰謝料を払うのですが、妻の本国は日本よりも物価が安いから慰謝料も低額で良いですか?

A: 日本法上、慰謝料の算定には、破綻原因・苦痛・背信性・有責性・有責行為の反復継続の度合いや、婚姻期間、当事者の年齢、経済状態、社会的地位等が考慮されると考えられています。
 御質問の内容は、当事者の経済状態と関連して問題となるでしょう。当事者の経済状態には、請求される側だけでなく、請求する側の生活状況や経済状況が考慮されることとなります。
 ここで誤解のないようにしていただきたいのは、請求者の生活状況・経済状況が考慮されるのであって、請求者の国籍が考慮されるのではないということです。
 すなわち、請求者が日本より物価の安い国を本国とする女性であったからといって、それだけで、日本人の場合よりも慰謝料の額を低くすることはできないのです。たとえば、婚姻生活を営んでいたのが日本であり、現在も外国人女性が日本で生活しているのであれば、彼女は、日本の物価に影響されて生活をしているのですから、本国の物価が日本の物価よりも低いことなど関係ありません。したがって、日本人同様の慰謝料を支払わなければなりません。
 これに対し、たとえば、婚姻生活を営んでいたのは日本であったけれども、婚姻関係の破綻後に、女性が本国に帰国してしまったような場合には、本国での生活が、彼女の生活状況として慰謝料額に考慮されないとは言えなくなります。しかし、婚姻生活を営んでいたのが日本であったのですから、日本人の場合や、婚姻関係破綻後も日本で生活している外国人のようなケースと、それほどの差異を設けてはならないであろうという考え方が主流となっています。
 逆に、あなたと女性とが、女性の本国で婚姻生活を営み、そして、あなたの方が日本に帰国したような場合には、女性は本国の物価に影響されて生活を送っており、それは婚姻生活の時点から継続していることですから、その本国の所得水準がより濃く慰謝料額に反映されることとなるでしょう。

投稿者:よしの たいら
at 22 :34| 離婚−国際離婚 | コメント(0 )

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